交通事故慰謝料は被害者側の過失割合に応じて減額される

交通事故の多くは被害者にも何らかの過失があって事故が発生します。被害者に過失があるにもかかわらず、加害者がすべての損害を賠償するのは不公平になります。そこで、被害者に過失があった分だけ損害賠償金額を減額しようとする考え方が「過失相殺」です。例えば、加害者に100万円を請求できる場合でも、被害者の過失割合が40%であれば、60万の支払いのみを受けることになります。
このように、過失相殺が行われると、賠償金額に大きな影響を及ぼすことがわかります。ですので、示談交渉の中で最も重要でかつ双方が対立するところです。かつては、各損害(逸失利益・慰謝料・休業損害など)に過失相殺をするのかしていましたが、現在では、全損害を算定したうえで過失相殺の適用を行います。
自賠責保険でも過失相殺は適用されます。しかし、自賠責保険の過失相殺は、被害者に重大な過失があった場合のみ認められています。重大な過失にあたるケースとして、信号無視を横断したことや被害者が中央線を越えて衝突したことなどが挙げられます。そして、減額率も過失の程度に応じて一定にしていることが大きな特徴です。
また、任意保険でも過失相殺の適用はあります。先ほどの自賠責保険では被害者の重過失のみ過失相殺を適用しますが、任意保険では普通の過失も過失相殺の適用があるので、注意しましょう。そのため、自賠責保険では減額されてないが、任意保険では減額されるケースもあります。
過失相殺は、賠償金額を算定するうえで双方にとって重要な項目になります。特に交渉相手が保険会社だと太刀打ちができないと思うので、過失相殺の考え方を覚えておきましょう。一度、「過失割合の認定基準表」で自分にどれくらいの過失があるのかを確認しておくことをオススメします。

死亡事故の場合は将来の生活費などの支出がなくなる分だけ減額される

慰謝料を含めた損害賠償金額が減額されるケースとして、過失相殺のほかに、「損益相殺」というものがあります。例えば、死亡事故の場合、被害者は将来の収入を受け取ることができなくなる損失があります。しかし、一方で将来の生活費などの支出を払わなくてもよいので利益を得たとも考えることができます。したがって、将来の収入から利益分を控除し、その残額を損害賠償とする考え方が「損益相殺」です。
なぜ、損益相殺をするかというと、損害賠償金額の二重取りを防ぐことになります。被害者といえども不当な利益を与えることは許されないので、被害者本人に生じた利益を控除しなければなりません。また、加害者に過剰な負担を負わすことも許されないので、損益相殺を行うことによって双方の公平を図ります。
損益相殺の対象となるのは、生活費のほかに、すでに支払われた自賠責保険金や労災あるいは健康保険および年金からの給付・所得補償保険金などです。これらを受け取った場合、損益の適用がありますので、損害賠償金額は減額されます。
一方で、損益対象とならないものとして、生命保険金や香典、税金があります。これらを受け取っても損益相殺の適用はないので、損害賠償金額は減額されないことになります。
なお、過失相殺と損益相殺の両方が適用される場合、どちらが先に適用されるかが問題となります。最高裁の判決によると、過失相殺の後に損益相殺を行いますので、実際にもこのような運用がなされるでしょう。したがって、まず全損害を計算してから、過失相殺、損益相殺の順に行い、最終的な損害賠償金額が確定されます。