後遺障害・死亡事故の場合は逸失利益が発生する

逸失利益は、死亡事故と後遺障害が発生した場合に認められる損害です。逸失利益とは、後遺障害が発生したことによりこれからの生活や仕事に支障をきたすなどして、将来の収入が減少する損害のことをいいます。死亡事故の場合においては、生きていれば得られるはずの将来の収入に対する損害のことをいいます。
まず、死亡事故における逸失利益は、「(基礎収入)×(1-生活費控除率)就労可能年数に対応するライプニッツ係数」で計算することができます。基礎収入は給与のことをいいますが、これは職種によって違うので、各種書類で収入の証明が必要となります。生活費控除においては、将来の生活費を支払うことが必要ないので、生活費は控除する必要があります。就労可能年数に対応するライプニッツ係数は一覧表があるので、ネットなどで調べることができます。
次に、後遺障害の逸失利益は、「基礎収入×労働能力の喪失割合×喪失期間に対応するライプニッツ係数」で計算することができます。労働能力の喪失割合は、労働能力喪失率表を参考に、被害者の年齢・職種などの具体的状況を考慮して決定されます。喪失期間については、原則として、就労可能年限まで認めているようです。
逸失利益は、働いている者にしか認められないかというと、そうではありません。専業主婦は一般的には無職の扱いですが、逸失利益は認められます。また、失業中の者あるいは一時離職者そして学生にも逸失利益は認められます。

怪我によって仕事を休んだ分は休業損害がもらえる

休業損害は、傷害事故により怪我をしてしまい怪我が治るまでの間は収入を得ることができなくなることに対する損害です。学生や無職の者・年金生活者などは収入がないので、休業損害は発生しません。しかし、専業主婦については、家事労働は収入に値すると考えられているので、休業損害が発生します。
自賠責保険における休業損害は、1日あたり5,700円が支払われます。そして、日数については実際に休業した日数とするのが原則です。なお、休業日数は医師の診断書や勤務先からの休業損害証明書で判断されるので、あらかじめ診断書もしくは休業損害証明書を用意しておくことが必要となります。
例えば、月の給料が20万円の者が2か月入院すると、休業損害は40万円となります。しかし、このうち会社から6割支給された場合、残りの4割だけを加害者に請求することができます。また、会社から4割支給され、労災から6割支給された場合、加害者に請求することできなくなるので注意しましょう。あくまで、請求できる金額は自分が受けた損害の限度なので、それ以上の請求はできません。
仮に怪我が治っても働けない場合や怪我が治っていなくても働ける場合もあるかと思います。その点については、個別具体的に休業日数が決定されます。また、怪我により仕事を休むにあたって有給休暇を使った場合であっても、有給休暇を使った日数は休業日数に含まれるので、覚えておきましょう。
先ほど、無職の者は休業損害が発生しないといいましたが、無職の者であっても就業の意欲があったがたまたま交通事故時は失業していたという場合に関しては休業損害が認められる可能性もあります。

交通事故によって発生した実費には積極損害を請求できる

積極損害は、死亡事故と傷害事故が遭った際に認められます。積極損害とは、実際に支出した費用のことをいいます。これらの損害は、逸失利益や慰謝料と併せて加害者に損害賠償として請求することができます。
死亡事故における積極損害には、葬儀関係費があります。およそ130万円~170万円の範囲内です。この額が一般的ですが、仏像を購入したりすれば若干加算される場合もあります。ただし、香典返しは葬儀関係費に含まれないので注意しましょう。また、葬儀関係費以外にも、死亡に至るまでの医療関係費や雑費も積極損害が含まれます。雑費とは、遺体運送費や入院中の交通費などをいいます。
傷害事故における積極損害には、医療関係費と雑費に分けることができます。医療関係費には、入院費・治療費・付添人費用などがあります。これらを証明するためには、医療機関からの請求や領収書、場合によっては医師の診断書が必要となりますので、捨てずに保存しておきましょう。雑費には、入院中の交通費や雑貨(電気毛布など)があります。しかし、雑費については必要性があるかどうかが重視されるので、慎重に判断されます。
裁判所では、積極損害についてはおおむね定額化されています。例えば、入院中の雑費については1日あたり1,400円~1,600円までで、近親者が入院中の者に付き添えば1日あたり5,500円~7,000円となります。このように定額化されているので、計算をしやすいというメリットがあります。また、弁護士費用については、訴訟になった場合、およそ損害賠償金額の1割程度が積極損害として認められています。