労務中での事故は労災保険を使うか自賠責保険を使うか迷いやすい

業務中に交通事故に遭い死傷した場合、労災か自賠責保険のどちらから使えばよいか迷うこともあります。法律上では、どちらを先に使うかについては決まっていないので、労働者(被害者)の自由な意思で決めることができます。ただし、行政機関からは自賠責保険からの使用を勧めますが、これに反して自賠責保険から使っても何ら問題はありません。
では、どのような違いがあるのか。例えば、怪我をしてしまい休業損害が発生した場 合を見てみましょう。自賠責保険では、原則として、1日あたり5,700円が支給され休業したその日から支給される仕組みになっています。一方で、労災の場合、休業給付が休業損害にあたりますが、これは1日あたり平均賃金の100分の60の額になります。また、労災での休業給付は3日目以降から支給されます。
労災保険を優先して使用するケースとして、相手(加害者)が自賠責保険のみしか加入していなかった場合や過失割合について争いがある場合、そして裁判になった場合などが挙げられます。しかし、一概にはいえないので、一度弁護士や近くの交通事故相談センターなどで意見を聞くとよいでしょう。
また、自賠責保険と労災保険の両方からの二重取りは許されないので、注意しましょう。しかし、示談成立後、加害者は被害者に賠償金額を支払ったが被害者の損害を十分に補償することができなかった場合は、労災給付が認められています。労災給付は調整するためにあるものなので、損害以上の請求はできないことはもちろんのこと、労災給付を受けた分だけ加害者に対する請求権を失うことになります。

死亡事故にあった場合は生命保険と自賠責保険の両方を受け取れるのか?

死亡事故が発生した場合、自賠責保険から損害賠償金が支払われます。また、もし被害者が生命保険に加入していた場合、そこから保険金が下ります。そこで、損害賠償金と生命保険金の両方を受け取ってもよいのかという問題があります。
生命保険は、被害者自身が保険料を支払いますが、保険金は掛けた分だけ下りるという仕組みになっています。それは、保険料の対価として受け取っているため、自賠責保険からの損害賠償金とは別で受け取ることができます。また、生命保険金を受け取ったからといって損害賠償金が減額されることはないのでご安心ください。
しかし、生命保険金を受け取った場合は税金がかかるので注意しましょう。課税される税金には、所得税・住民税・贈与税などがあります。どの税がかかるかは被保険者・契約者・受取人との関係によって決定されるので、一概にはいえません。いずれにせよ生命保険金には税金がかかるということです。
生命保険金には税金がかかりますが、損害賠償金には税金(所得税)はかかりません。なお、損害賠償金が減額されずに別でもらえることができるものとして、傷害保険金や失業給付・生活保護法による生活扶助および医療扶助が考えられます。ただし、傷害保険金については問題ありませんが、他の給付に関しては判例や学説上の対立がありますので、一度弁護士に相談した方がよいでしょう。
交通事故の被害者もしくはその遺族となった場合、さまざまな保険金や給付を受け取るかと思います。確実に処理していくためにも、自分自身はもちろんのこと家族の保険状況を確認しておくのも必要になると思います。